パッキン

【パッキン部位の名称】

説明文中で使用しているパッキン部位は図のとおりです。

パッキン部位の名称
外観 原因 対策
現象 状態
外観 原因 対策
現象 状態
劣化 しゅう動面全体が“硬化”して いる。
光沢があり表面に“クラック” があるか、あるいは指で押さ えると“クラック”が発生する。
  • 劣化
  • 劣化
  • 高速または内圧過大による発熱
  • ピストンパッキンの場合は、組合せシールに変更する。
  • ロッドパッキンの場合は、バッファリングを追加する。
パッキン全体が“硬化”し、リップの “へたり” が大きい。
指で曲げると“クラック”が発生する。
  • 劣化
  • 劣化
  • 油温が高い
  • 耐熱性、耐油性の良いパッキン材料に変更する。
  • 油とパッキン材料との組合せが不適正
  • 耐油性を確認し、パッキン材料または作動油を変更する。
  • 油の劣化
  • 新油に交換する。
パッキン表面全体にわたって微小“クラック”が発生している。
  • 劣化
  • 劣化
  • パッキンを大気中に長時間放置したことによる“オゾンクラック”
  • 包装は不必要に開封せず、密封のまま冷暗所に保管する。
  • ピストンに装着した後、シリンダに組み込まず放置したことによる“オゾンクラック”
  • ピストンに装着したまま放置せず、速やかにシリンダに組込む。
膨潤 全体に“柔らかく”なっている。
  • 膨潤
  • 膨潤
  • 油とパッキン材料との組合せが不適正
  • 耐油性を確認し、パッキン材料または作動油を変更する。
  • 洗浄液の影響
  • 洗浄液を変更する。
  • 洗浄液を除去する。
摩耗 しゅう動面が光沢のある鏡面状の“摩耗”をしている。
  • 摩耗
  • 摩耗
  • 微小ストロークでしゅう動し、潤滑油膜の形成が不十分
  • ピストンパッキンの場合は、組合せシールに変更する。
  • ロッドパッキンの場合は、バッファリングを追加する。
  • しゅう動面粗さが小さすぎる
  • 粗さを均一に仕上げる。

〈推奨値〉

  • シリンダチューブ内面:0.4~3.2μmRz(0.1~0.8μmRa)のバニシ仕上げ(RLB)
  • ロッド表面:0.8~1.6Rz(0.2~0.4μmRa)のバフ仕上げ(SPBF)
しゅう動面の当り幅の大きさが円周上で連続的に異なり、最小幅と最大幅の位置がほぼ対称となっている。
  • 摩耗
  • 摩耗
  • ロッドやピストンの偏心
  • 取付偏心をパッキン許容範囲内におさえる。
しゅう動面の一部が異常に“摩耗”しており、横荷重方向と一致している。
  • 摩耗
  • 摩耗
  • 横荷重の過大によるウエアリング、軸受の異常摩耗
  • ウエアリング、軸受の材料を横荷重に耐えるものに変更する。
条痕摩耗 しゅう動面が往復動方向に“すじ”状に“摩耗”している。
  • 条痕摩耗
  • 条痕摩耗
  • 微小ストロークでしゅう動し、潤滑油膜の形成が不十分
  • 加圧頻度が多い、加圧時間が長い、高圧力など、圧力条件が厳しい
  • OUHR型に変更する。
  • 自己潤滑性に優れた組合せシールに変更する。
  • ロッドパッキンの場合は、バッファリングを追加する。
きず リップ先端に部分的な“欠け”、“凹み”がある。
  • きず
  • きず
  • くぎ、針金などに吊したり、局部的な変形が生じるような保管状態
  • 保管方法を改善する。
  • 組込み時、相手面取り部の“ばり”、“かえり”による“きず”
  • 各型式の寸法表に従って“ばり”、“かえり”が無いように滑らかにする。
  • 寸法表については、カタログ57~213ページをご参照ください。
  • ドライバーなどによる組込み
  • 組込み治具を使用する。
しゅう動部に引っかき“きず” がある。
  • き ず
  • き ず
  • 相手しゅう動面のきず
  • 組込み前に十分に点検する。
  • 組込み時、相手面取り部の“ばり”、“かえり”による“きず”
  • 組込時、相手面取りが不十分
  • 各型式の寸法表に従って面取りを行い、“ばり”、“かえり”が無いように滑らかにする。
  • 寸法表については、カタログ57~213ページをご参照ください。
  • 異物のかみ込み
  • 異物を除去する。
  • ピストンパッキンの場合は、両側にコンタミシール(KZT)を設ける。
凹み しゅう動面に小さな“凹み”がある。
  • 凹み
  • 凹み
  • 洗浄不良によるダスト、切削粉のかみ込み
  • 機器に付着した異物を除去する。
  • 油中の異物のかみ込み、または油の酸化による生成物のかみ込み
  • 新油に交換する。
破損 ピストンパッキンのリップが円弧状に“欠損”している。
  • 破損
  • 破損
  • 過大な背圧発生
  • OUHR型に変更する。
  • 組合せシールに変更する。
パッキン溝部を起点に“クラック”が発生している。
  • 破 損
  • 破 損
  • インパルス圧の頻度が多いための疲労破壊
  • ピストンパッキンの場合は、組合せシールに変更する。
  • ロッドパッキンの場合は、バッファリングを追加する。
  • 低温で起動させたための破壊
  • 耐寒性の良いパッキン材料に変更する。
リップが全体にわたって“欠損”している。
  • 破 損
  • 破 損
  • パッキン材料の劣化
  • 耐熱、耐油性の良いパッキン材料に変更する。
  • 油の劣化
  • 新油に交換する。
パッキンの円周上の1~2ヶ所が”欠損”している。
  • 破 損
  • 破 損
  • パッキンがねじれたまま装着
  • パッキンが溝から“はみ出し”た状態での組付け
  • 装着方法、装着治具を改善する。
はみ出し パッキンのしゅう動側ヒール部が“欠損”している。
  • はみ出し
  • はみ出し
  • はみ出しすきまが過大
  • すきま寸法を小さくする。
  • バックアップリングを追加する。
  • 軸受の摩耗が大きく、軸受のすきまが増大
  • 軸受の材料を適正なものに変更する。
  • 圧力が過大
  • バックアップリングを追加する。
  • 耐圧性の高いパッキンに変更する。
  • ロッドパッキンの場合、バッファリングを追加する。
パッキンの固定側ヒール部が“欠損”している。
  • は み 出 し
  • は み 出 し
  • 取付け溝部の加工精度・構造が不適切
  • 適正な加工・構造に変更する。
  • 押え板の剛性不足によるすきま発生
  • 押え板の剛性を向上させる。
  • バックアップリングが不適正
  • バックアップリングの寸法を修正する。
  • バックアップリングの材料を適切なものに変更する。
パッキンのしゅう動側ヒール部およびバックアップリングが共に“はみ出し”ている。
  • は み 出 し
  • は み 出 し
  • はみ出しすきまが過大
  • すきま寸法を小さくする。
  • バックアップリングが不適正
  • バックアップリングの材料を剛性の高いものに変更する。
  • バックアップリングの厚み寸法を大きくする。
  • ロッドパッキンの場合は、バッファリングを追加する。
パッキンのリップ部および溝部が局部的に“焦げ”て“炭化”したり、“溶融”している。
  • は み 出 し
  • は み 出 し
  • 残留エアの断熱圧縮による“焼損”
  • “焼損”が発生する原因と対策については、カタログ262~263ページをご参照ください。