Oリング

Oリングの品揃えは?

JIS規格品のP・G・V各シリーズ、ISO規格品、旧JASO F404規格品、AS568規格品、独自規格のSシリーズ、SSシリーズ、WEXシリーズ、BEシリーズ、SP処理シリーズがあります。

Dリング、Xリングの寸法表は?

寸法表はありません。
角リング、Dリング、Xリングなどがありますが、専用設計・金型新作となりますので、ご購入窓口へご相談ください。
それぞれの用途・特徴等については、カタログ7ページ〈表2-2〉をご参照ください。

耐熱性が良いOリング材料は?

フッ素ゴム、シリコーンゴムは耐熱性に優れており、およそ200℃まで使用できます。
温度だけでなくシール流体との相性もご確認のうえゴム材料を選定ください。
詳細はカタログ8~9ページをご参照ください。

高温の水蒸気に使用できるOリングは?

給湯器の配管部用に開発した高温水用Oリング材料FP29、FP739が候補です。
詳細については、以下カタログをご参照ください。

  • 主要材料の温度範囲と密封流体について
    カタログ8~9ページ
  • 水用OリングWEXシリーズ
    カタログ58ページ

酸性pH2の液体に使用できるOリングは?
またアルカリ性pH12の液体の場合は?

ゴム材料の耐性は酸性・アルカリ性で決まるものではありません。
使用温度も併せてご確認のうえ選定ください。
詳細はカタログ8~9ページをご参照ください。

耐薬品性や耐溶剤性に優れたゴム材料は?

フッ素ゴム材料のFP64があります。
酸・アルカリに対して優れた耐性を有し、耐溶剤性はFFKM(パーフロロエラストマー)並みに優れた材料です。
材料の特徴・物性値、代表的な薬液に対するデータなどについては、カタログ68ページをご参照ください。
専用設計・金型新作が必要となりますので、ご購入窓口へご相談ください。

食品衛生法に適合したOリングは?

食品衛生法に適合した製品はWEXシリーズです。
食品衛生法に適合したOリング材料は他にもありますが、市販品は工業用の工程で生産しているため食品衛生法に適合していません。
専用の工程で受注生産する必要がありますので、ご発注いただく際は『食品衛生法適合の製品』とご指定ください。
使用温度や他の流体との相性もご確認のうえ選定ください。

  • WEXシリーズ
    カタログ58ページ
  • 主要材料の温度範囲と密封流体について
    カタログ8~9ページ

水道法に適合したOリングは?

水道法に適合したOリング材料を保有していますが、市販のOリングは工業用の工程で生産しているため水道法に適合していません。
専用の工程で受注生産する必要がありますので、ご発注いただく際は『水道法適合の製品』とご指定ください。
使用温度や他の流体との相性もご確認のうえ選定ください。

詳細はカタログ8~9ページの主要材料の温度範囲と密封流体の資料〈表3-1〉に『水道法』の項がありますのでご参照ください。

塩素殺菌された飲料水をシールするOリングは?

住宅給湯システム配管用に開発され、食品衛生法にも適合するWEXシリーズがあります。
詳細はカタログ58ページをご参照ください。

バイオマス由来原料を使用したOリングは?

BEシリーズがあります。バイオマス由来原料の使用割合(バイオマス度)が30%の材料で、バイオマスマーク認定商品です。温室効果ガス排出量を低減し、カーボンニュートラルの実現に貢献します。
詳細はカタログ59ページをご参照ください。

100℃程度の水に使用するOリング材料は?

フッ素ゴムのFP29かエチレンプロピレンゴムが候補です。
余裕をもたせるならFP29がお奨めです。
詳細はカタログ8~9ページをご参照ください。

100℃のアルコールに使用するOリング材料は?

エチレンプロピレンゴムが候補です。
ただし耐熱性が130℃までなので事前にお試しのうえ適否をご判断ください。
アルコールに対する耐性はエチレンプロピレンゴムに及びませんが、耐熱性の点で有利なフッ素ゴム、シリコーンゴムも候補です。
詳細はカタログ8~9ページをご参照ください。

100℃のエチレングリコール水溶液(LLC)に使用するOリング材料は?

エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどが候補です。
詳細はカタログ8~9ページをご参照ください。

屋外で使用する密閉ケース用のOリング材料は?
温度は外気温、圧力は大気圧です。

ニトリルゴムはオゾンクラックが発生する可能性があるのでフッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴムなどをお奨めします。
使用温度や他の流体との相性もご確認のうえ選定ください。
詳細はカタログ8~9ページをご参照ください。

真空用途に適したOリング材料は?

真空で使用する場合、ガス透過やアウトガスに注意が必要です。
入手性の面を考慮すると、ニトリルゴムかフッ素ゴムが候補です。
より高真空用途となる場合は、一般的にガス透過性が低いフッ素ゴムをお奨めします。
使用温度や他の流体との相性もご確認のうえ選定ください。
詳細はカタログ8~9ページ〈表3-1〉をご参照ください。

真空機器に適したOリングは?

真空フランジ用に設定された、JIS Vシリーズがあります。
シール部の相手面・溝底面の表面粗さには十分ご注意ください。

空気圧シリンダに適したOリングは?

ねじれ防止効果のある太い寸法のものをご使用ください。
主にJIS Pシリーズで材料A305のOリングをお奨めします。
連続給油を行うなど充分な潤滑を維持してください。
なお、空気圧用パッキンは初期潤滑だけでご使用いただけます。

空気圧シリンダのOリング使用方法は?

連続給油を行うなど充分な潤滑を維持してください。
給油できない場合は、グリース溜まりを設け、定期的に給脂を行うなどの配慮をお願いします。
詳細はカタログ18ページ〈図4-1〉をご参照ください。

回転用にOリングは使用できるか?

お奨めできません。
摩耗やねじれによる切損(ちぎれ)など不具合が発生しやすいためです。

摩擦抵抗の小さいOリングは?

SP処理Oリングがあります。
表面にコーティングを施して摩擦抵抗を低減したものです。
装着時にグリースや油が使用できない場合に組付けがしやすく、生産性を高めることができます。
Oリング同士の粘着を防止することで、パーツフィーダーのトラブルを未然防止できます。
ただし、運動用には使用できません。
詳細はカタログ66ページをご参照ください。

SP処理Oリングはカタログ66ページの寸法表にあるものだけですか?

そのとおりです。
他のサイズ・ゴム材料も製作は可能ですが『特定のお客様向け専用品』としてオーダーメード生産させていただくことになります。
専用設計・金型新作が必要となりますので、ご購入窓口へご相談ください。

SP処理はどのゴム材料でも可能ですか?

できるものとできないものがあります。詳細はご購入窓口へご相談ください。

Oリングを組み付ける際にグリースを使用できないため組付け性が悪いのですが、良い方法は?

SP処理Oリングがあります。
表面にコーティングを施して摩擦抵抗を低減したものです。
装着時にグリースや油が使用できない場合に組付けがしやすく、生産性を高めることができます。
詳細はカタログ66ページをご参照ください。

当社製造部門でOリングを自動で組込む装置を使用しています。
時々Oリング同士がくっついてしまうことで停止する現象が発生しているのですが改善策は?

レアフロンコーティング処理、SP処理、梨地処理などの方法があります。
梨地処理でも効果は見込めますが、コーティング処理の方がより効果が期待できます。
Oリングの表面処理については、カタログ67ページをご参照ください。
専用設計・金型新作が必要となりますので、ご購入窓口へご相談ください。

内径の大きなOリングを探しています。
寸法表に載っていない内径Φ600×線径Φ5.7の製品は製作できますか?

製作可能です。
詳細はカタログ67ページのつなぎOリングをご参照ください。
ただし、ゴム材料はNBR-70-1とFKM-70になります。

つなぎOリングを手配する際の型式寸法や部品番号は?

内径と太さ、ゴム材質をご指定のうえご購入窓口に見積りをご依頼ください。
型式寸法や部品番号はオーダーメード品としてご依頼の都度設定します。

「つぶし代」とは?

溝に装着した時につぶれる高さです。

「つぶし代」とは?
  • つぶし代  数式
  • つぶし代 記号

「つぶし率」とは?

つぶし代を太さで割った値です。

「つぶし率」とは?
  • つぶし率の設定 数式
  • つぶし率の設定 記号

「充填率」とは?

Oリングの断面積を溝の断面積で割った値です。

「充填率」とは?
  • 充填率の設定 数式
  • 充填率の設定 記号

圧縮永久歪とは?

圧縮永久歪はヘタリを意味する値です。
Oリングにつぶしを与えて長時間放置後に開放した際、元の太さまで戻らず永久変形(ヘタリ)が生じます。
この永久変形(ヘタリ)をつぶし代で割った値が圧縮永久歪で、%で示します。
これが小さいほどヘタリが少なく長寿命と言えます。

Oリングの最適なつぶし率は?

Oリングと溝寸法の設定基準を目安に設計のうえ、評価試験を行ってご判断ください。
耐久性を優先する場合には、つぶし率を20~30%程度とすることをお奨めします。
詳細はカタログ14ページ〈表5-1〉をご参照ください。

カタログ14ページのOリングの設計基準(1)Oリングの機能に対する考え方のグラフ〈図1-1〉について、つぶし率が低い領域で圧縮永久歪が大きくなるのはなぜですか?

このグラフは弊社実験データを基にしたものです。
ゴムがもつ特性とご理解ください。
詳細はカタログ72ページ〈図6-5〉をご参照ください。

Sシリーズはコンパクトですが、Pシリーズと比べて異なる点は?

SシリーズとPシリーズの違いは内径が同じであればPシリーズの方が太さが大きいため、耐圧性、耐久性の面で有利と言えます。

カタログ14ページのOリングの設計基準(3)太さの選定をご参照ください。
〈図1-2〉のグラフは太さと圧縮永久歪(へたり易さ)との関係を示していますが、太い方がへたり難いので、耐久面でPシリーズの方が有利と言えます。

カタログ15ページ(5)すきまとはみ出しについて、〈図1-3〉Oリングのはみ出し限界のグラフの横軸 『すきま』は直径すきまですか?それとも半径すきまですか?

直径すきまです。

バックアップリングはどのような時に使う?

高圧時『はみ出し』現象が発生してOリングが損傷、漏れが発生するのを防ぐ際に使用します。
詳細はカタログ15ページの(5)すきまとはみ出しをご参照ください。
〈図1-3〉のグラフで直径すきまと使用圧力、Oリングの硬さから判断します。

Oリング溝の表面粗さは?

カタログ14ページOリングの設計基準の(4)溝部の表面粗さ〈表5-2〉をご参照ください。

フランジ面の溝断面はL字形でも良いか?

圧力変動によって摩耗や脱落することがあり、使用しないでください。
詳細はカタログ16ページ〈図2-2〉の非推奨例をご参照ください。

三角溝を使用しても良いか?

推奨しません。
つぶし率や充填率が大きく、圧縮永久歪(へたり)が大きくなり寿命が短くなるためです。
やむを得ず使用する場合は、カタログ 17ページ〈図2-5〉をご参照ください。

あり溝の寸法設定方法は?

Oリングの飛び出し防止を目的として使用される場合がありますが、充填率が高くなることが欠点です。
止むを得ず使用する場合は、カタログ 17ページのあり溝の説明をご参照ください。

平面形状が四角形や楕円形などの溝にOリングを使用しても良いですか?

推奨しません。
組付ける際に浮き上がりが発生し正しく装着できなかったり、Oリングが溝側面に均一に接触しないため安定したシール特性が得られないためです。
溝形状に沿った専用パッキンをお奨めします。
専用設計・金型新作が必要となりますので、ご購入窓口へご相談ください。

カタログ寸法表に記載のない溝寸法は?

次の手順で設計してください。

【手順】

1. つぶし率の設定    使用範囲:8~30%

「つぶし率」とは?
  • つぶし率の設定 数式
  • つぶし率の設定 記号

2. 充填率の設定     使用範囲:最高値90%、中央値75%(設計の狙い値)

「充填率」とは?
  • 充填率の設定 数式
  • 充填率の設定 記号

AS568シリーズの溝寸法は?

カタログ78~84ページをご参照ください。
米国MIL-G-5514G規格の溝寸法が参考掲載されています。
表の左端のMS28775呼び寸法が、AS568の呼び番号に相当します。
各寸法の上段/下段は、寸法公差の上下限を示します。

ISO相当一般工業用の溝寸法は?

カタログ77ページ〈表11-1~3〉をご参照ください。

Oリングを取付ける穴や軸の形について注意点は?

機器を組立てる際、シリンダチューブやピストンロッドのエッジ部でOリングを傷つける恐れがありますので、必ず面取りを設けてください。
推奨面取り寸法などは、カタログ18ページ〈表6-1〉〈図3-1〉をご参照ください。

Oリングを組み込む際の注意点は?

いくつかあります。
詳細はカタログ19ページ「組み込み時の注意事項」をご参照ください。

取外したOリングを再使用できますか?

できません。
必ず新しいOリングと交換してください。

Oリングを軸に組み込む際、Oリングを伸張させる必要がありますが、どの程度まで伸ばしてよいですか?

伸張率の上限は、「伸び(%)」実測値の40%を目安としてください。
ゴム材料の試験項目の「伸び(%)」については、カタログ10ページ〈表4-1〉左列の常態「伸び(%)」をご確認ください。
計算例については、カタログ19ページ「組込み時の伸長率について」をご参照ください。

組付けに使用するグリースとOリング材料との相性を確認したい。推奨グリースは?

一般的なリチウム石鹸グリースであればニトリルゴム、フッ素ゴムとの相性は問題無いと思われます。
潤滑油とゴム材料の相性については、カタログ8~9ページをと参照ください。

Oリングを保管する場合の注意点は?

いくつかあります。
カタログ19~20ページ「保管上の注意、及び保管期限」をご参照ください。

Oリングの保管期限は?

下表をご参照ください。
倉庫の中で直射日光・高温・高湿を避け、密封包装状態で保管されているものが対象となります。

製 品 材 料 保管期限
ゴム単体品 ニトリルゴム(NBR) 10年
シリコーンゴム(VMQ) 20年
ふっ素ゴム(FKM) 20年
アクリルゴム(ACM) 20年
エチレンプロピレンゴム(EPDM) 20年
水素化ニトリルゴム(HNBR) 10年
スチレンブタジエンゴム(SBR) 10年
ウレタンゴム(AU) 10年

Oリングはどうして漏れない?

Oリングは流体の圧力を使ってシールします。
流体がない場合(無圧時)はOリングがつぶれることで発生する面圧:P0(ゼロ)によりシールします。
P0よりも高い流体圧力が加わった場合(加圧時)でもシールが可能です。理由は、流体の圧力:P1が加わることで、面圧がPm=P0+P1に上昇するためです。

流体圧力

Oリングを組み込む際に塗布する潤滑剤は?

使用する密封対象油を塗布してください。
弊社ではNOKクリューバー潤滑剤のお取り扱いもございますので、ご購入窓口にご相談ください。
詳細はカタログ69ページをご参照ください。

Oリング組付け時の反力は?

反力は、ゴム硬さ、つぶし率、寸法などにより変わります。
詳細はカタログ71ページ〈図6-3〉をご参照ください。
圧縮反力はフランジ部の締付け力の目安としてください。

油圧・往復運動時のしゅう動抵抗は?

作動油の動摩擦力のデータがあります。
カタログ71ページ〈図6-4〉をご参照ください。
しゅう動抵抗は、ゴム硬さ、つぶし率、径寸法、ロッド・シリンダ表面粗さ、圧力、温度、しゅう動速度、油種、潤滑状態などにより影響を受けますので目安としてください。

空圧・往復運動時のしゅう動抵抗は?

空気圧の始動・動摩擦力のデータがあります。
カタログ72ページ〈図6-6~9〉をご参照ください。
ご使用の際に、つぶし率の設定、始動・しゅう動抵抗の目安としてください。

Oリング材料の選定方法は?

ゴム材料は化学物質なので温度、流体との相性、圧縮や引張などの物理的な負荷、これらの影響を複合的に受けて劣化が進みます。
カタログ8~9ページ主要材料の温度範囲と密封流体の資料〈表3-1〉をご参照いただき、ご使用条件に合うものを選定してください。