多層フレキシブルPWB

掲載誌:電子技術 1999年6月号別冊 '99年版プリント配線板のすべて/著者:水子努/発表年:1999年

近年、携帯情報端末、あるいは情報機器の需要が急速に進む中、プリント基板にも薄さ、軽さのニーズとともに実装性、信頼性を兼ね備えたプリント配線板のニーズが高まってきた。このような市場ニーズにより、フレクスボード(多層フレキシブルプリントPWB)の需要も高まってきた。

フレクスボードは、従来のフレキシブルプリント基板に用いられるポリイミドフィルムを基材とし、積層接着剤を用いて多層化していくものであり、層数では3層から10層、厚みでは0.4mmから1.2mmを中心に量産が行われている。

フレクスボードは、FR基板(フレックスリジッド基板)とは異なり、均質な素材で構成されていることから、製造工程中のスミアの問題や、各素材の熱膨張係数の違いによるスルーホールメッキに対する影響から解放され、高い信頼性を得ている。

また、フレクスボードは、ビルドアップ構造を持つこともでき、フレクスビルドボードという商品名で、CSP対応可能な高密度実装基板として量産されている。

フレクスボード/フレクスビルドボードにより、筐体設計が決定された段階で、筐体に合わせ、硬質基板部とケーブル部を一体で設計することができ、また、各種VIA形態がとれることからパターン設計の自由度が向上する。

環境問題に対しても、ハロゲンフリー対応基板、鉛フリー対応基板が可能である。

フレクスボード断面構造
  1. (1) SVH(Surface Via Hole)
  2. (2) 内層端子露出
  3. (3) 搭載部品保持(基板内補強)
  4. (4) IVH
  5. (5) ケーブル内VIAホール
  6. (6) 多重ケーブル
  7. (7) 基板間接続ケーブル
  8. (8) ランドスルーホールメッキ
  9. (9) 高屈曲性引き出しケーブル
  10. (10) 小径VIAホール
  11. (11) 表面処理
    (金メッキ、半田メッキ、半田コート、水溶性プリフラックス)